2008年度コレクション名品展Ⅰ「朝鮮の美術工芸-高麗青磁を中心に-」2008年5月30日(金)~8月31日(日)
 

青磁象嵌雲鶴文碗 12世紀後半

開催にあたって

誕生から千年以上経った今も人々を魅了してやまない、高麗王朝を代表するやきもの「青磁」。特徴として透明感のある静謐な趣を持ち、また白土と赤土を嵌め込み、文様を装飾した象嵌技法が発展しました。今回は、巧みな装飾方法でその優美を極めた高麗青磁をはじめ粉青沙器、さらに仏教美術などを幅広くご紹介します。

開館情報

 ■会 期    2008年5月30日(金)~8月31日(日)
 ■開館時間   午前10時~午後5時  ※入館は午後4時30分まで
 ■休館日   毎週月曜日、但し祝日と重なる場合は翌日休館。  
 ■入館料   一般500(400)円、大高生400(320)円、中小生300(240)円

 (  )内は20名以上でご来館の団体割引料金です。
 また、事前のご予約にて団体解説も承っております。
 詳しくは高麗美術館(電話075-491-1192)まで。

 ■主な出展品  ・青磁象嵌雲鶴文碗(12世紀後半)
 ・青磁象嵌牡丹文扁壺(13世紀)
 ・青磁象嵌菊花文盞托(12世紀)など・青磁鉄絵草文壺 11世紀
 ・青磁陰刻蓮華文梅瓶 12世紀後半
 ・粉青刷毛目碗 16世紀
 ・木造漆箔阿弥陀三尊仏龕 朝鮮時代 康熙28年(1689年)
                 など総出展数約60点(うち青磁20点)


主な出品紹介

●青磁象嵌雲鶴文碗 12世紀後半
 透明感のある青緑色の器面内部には、唐草文帯で縁取られた天空に鶴が飛翔し、雲がたなびく流麗な様子を白黒象嵌で表している。象嵌で描かれた文様部分が少なく、余白を充分にとるのは、後の朝鮮時代の趣向ともつながる要素である。見込みの小さな鏡に花弁を、側面には蓮華を可憐に陰刻するなど、細やかな装飾を駆使し、全体に精巧な作調である。



●青磁陰刻蓮華文梅瓶 12世紀後半
 胴には様々な角度からとらえた蓮華文が陰刻され、上下には意匠化された如意頭文、裾には雷文がめぐる。文様を描くなめらかな陰刻線は釉がたまって透き通った青緑色を呈し、焼成の際に酸化して黄色味を帯びた部分や柔らかい器形となじみ、蓮華の華麗さを引き立てている。



●青磁象嵌牡丹文扁壺 13世紀
 口と底の縁には後補の金箔をやや残し、肩から裾にかけてなだらかな線を描く安定感のある扁壺である。上部に蓮弁文、中央部の二重稜花窓のまわりには如意頭文をめぐらせ、窓枠外の空間には均等に散りばめられた葉形を成す薄い雲間を鶴が飛翔する姿がみられる。画面に見立てられた窓枠内に咲く牡丹は、周りの天空を背景にくっきりと浮かび上がり、全体を引き締めている。確認されるなかで他に類例のない、希少な逸品である。



●青磁象嵌菊花文盞托 12世紀
 輪花形を成す盞の側面上部には宝相華唐草文が帯状に陰刻され、中央部には菊花折枝文がめぐる。托はひだ状の花弁を広げ、その上に盞を受ける台(托座)を伴う。托座は蓮弁文を深く陽刻し、蓮弁には花の繊維を細かく陰刻して立体的に表している。この盞と托は施された意匠・技法や花弁の数、釉色が異なることから、別々の取り合わせだと思われる。
 盞托は中国の飲茶の風習に倣い高麗でも盛んに生産され小さな青磁盞で茶を嗜んだ心行きが伝わる逸品である。