コレクション

コレクションの一覧
高麗美術館のコレクションはすべて日本で収集されたものです。1700点におよぶ収蔵品は磨製石剣や瓦塼、銅鏡などの考古資料をはじめ、高麗青磁や朝鮮白磁などの陶磁器、螺鈿や華角で装飾された木工品、山水図や花鳥図、民画などの絵画のほか、仏教美術、民俗資料を有しております。多岐にわたる収蔵品は年間4.5回開催される企画展を通じて順次展観されております。
以下に高麗美術館を代表する作品を紹介いたします。
多鈕雷光文鏡 (たちゅうらいこうもんきょう)
多鈕雷光文鏡 (たちゅうらいこうもんきょう)
多鈕雷光文鏡 (たちゅうらいこうもんきょう) 青銅器時代初期 다뉴 뢰광문 경 Mirror with Lighting Design and Knobs Early Blonze age D 9.1㎝  この鏡は多鈕鏡の祖形に属し、鏡背には雷光のように双線が盛り上がり、遼寧青銅器文化との関りを示すものである。雷光文は星形文などがあらわされた粗文へと移行し、その後は精緻な細文へと変  ・・・
鉄砂帆船魚文壺(てっしゃはんせんぎょもんこ)朝鮮時代19~20世紀
鉄砂帆船魚文壺(てっしゃはんせんぎょもんこ)朝鮮時代19~20世紀
鉄砂帆船魚文壺 (てっしゃはんせんぎょもんこ) 朝鮮時代 19~20世紀 H 34.0㎝  粗く際立ったろくろ目。器体は大きくゆがみ、底部も水平でないため、不安定である。そして、そこに魚を得ようと船を漕ぎ出す人物の姿が見え、裏面には大魚が追手から逃れるように描かれている。天真爛漫に鉄の顔料で描かれた帆船と魚は自然かつ健康的で、朗らかさと滑稽さが相まった魅力ある作風であり、朝鮮民衆美術の極致  ・・・
青磁象嵌牡丹文扁壺(せいじぞうがんぼたんもんへんこ)高麗時代13世紀
青磁象嵌牡丹文扁壺(せいじぞうがんぼたんもんへんこ)高麗時代13世紀
青磁象嵌牡丹文扁壺 せいじぞうがんぼたんもんへんこ 高麗時代 13世紀 H 28.0㎝  裾や肩は蓮華文帯で装飾し、全体に細かな雲鶴をちりばめて、扁平となった中央部分の花弁の窓には立ち上がる牡丹の花を白黒の象嵌で表現している。高麗時代は青磁が隆盛を極め、陰刻技法を経て、象嵌技法が編み出された。印花(スタンプ)による文様表現はのちの粉青沙器にも継承されている。青磁は新羅土器を焼く土壌の上に中  ・・・
白磁壺 (はくじこ) 朝鮮時代17世紀後半
白磁壺 (はくじこ) 朝鮮時代17世紀後半
白磁壺 はくじこ 朝鮮時代 17世紀後半 H 28.5㎝  白磁は15世紀後半に設置された京畿道広州官窯の出現により、その生産を勢いづけ、王室の御器(ぎょき)として上質の白磁が焼成されるようになる。しかし、16~17世紀には度重なる戦禍に見舞われ、陶磁生産は大きく停滞する。その後、18~19世紀には再び白磁の需要が高まりをみせ、生産量の多い時期を迎える。  この白磁壺は器形が安定し、器  ・・・
木造阿弥陀三尊仏龕 (もくぞうあみださんぞんぶつがん) 朝鮮時代 康煕28(1689)年
木造阿弥陀三尊仏龕 (もくぞうあみださんぞんぶつがん) 朝鮮時代 康煕28(1689)年
木造阿弥陀三尊仏龕 (もくぞうあみださんぞんぶつがん) 朝鮮時代 康煕28(1689)年  国の統治理念が儒教に改められた朝鮮時代、仏教は排斥され、僧侶の地位は下落させられるが、山奥などの僻地で仏教はなりを潜めながらも、その精神文化は命脈を保っていた。 近年、この三尊仏龕の阿弥陀如来の胎内より願文や造像記、舎利袋が発見され、康煕28(1689)年に全羅南道で活躍した彫刻僧・色難を中心とし  ・・・
黒漆塗螺鈿長生文碁盤 (くろうるしぬりらでんちょうせいもんごばん) 朝鮮時代 18~19世紀
黒漆塗螺鈿長生文碁盤 (くろうるしぬりらでんちょうせいもんごばん) 朝鮮時代 18~19世紀
黒漆塗螺鈿長生文碁盤 (くろうるしぬりらでんちょうせいもんごばん) 朝鮮時代 18~19世紀  囲碁の図は朝鮮時代の絵画やその他の工芸品によく見られる画題である。この碁盤は表面に貝を嵌め込んで、上から黒漆を塗り、それを研ぎ出す螺鈿技法で装飾された木工品である。「白碁」「黒碁」と螺鈿で表された側面の引き出しには、碁石を保管した。碁を打つと碁盤のなかに張られた銅線がかすかに響き、しばらくの余韻が  ・・・
華角三層チャン (かかくさんそうちゃん)
華角三層チャン (かかくさんそうちゃん)
華角三層チャン (かかくさんそうちゃん) 朝鮮時代 19世紀  華角は朝鮮独自の工芸品である。角を巧みに薄い紙状に加工し、それに絵画を施して木工品に貼り付けるものである。貼り付ける際には彩色した面を伏せて膠で木面に附着させ、上から熱く熱した鏝で押さえる。透明の角紙であるため、絵は透けた状態で映し出される。このチャン(朝鮮語で箪笥を意味する)には角紙が159枚貼り付けられており、角紙を区画する  ・・・
刺繍花鳥図十曲屏風 (ししゅうかちょうずじっきょくびょうぶ)
刺繍花鳥図十曲屏風 (ししゅうかちょうずじっきょくびょうぶ)
刺繍花鳥図十曲屏風 (ししゅうかちょうずじっきょくびょうぶ) 朝鮮時代 18~19世紀  色とりどりの絹糸を、一針一針丹念に刺した刺繍屏風。各曲には花や実をつけた花卉や樹木を中心に、つがいの鳥や蝶が戯れる様子が表現されている。二曲ずつが向き合うよう構成され、若干の余白を残している。花鳥図屏風は夫婦和合や家族団らんを意味し、主に新婚夫婦の部屋や女性の生活空間で活用された。  近年行われた解  ・・・
龍虎図 (りゅうこず)
龍虎図 (りゅうこず)
龍虎図 (りゅうこず) 朝鮮時代 16世紀末期 絹本墨画淡彩 李楨 筆  16世紀末に図画書の画員として活躍した李楨(イ・ジョン)の作品。李楨は画員の家系に生まれ、5歳で画才をあらわし、10歳にして絵を大成させた人物である。しかし依頼されても揮毫することはなく、当時でさえ世に伝わるものはわずかであった。脱俗不凡で仏教にも深い理解があったが、わずか30歳の若さで夭折した。 「懶翁」の落款と  ・・・
鷺図(さぎず)
鷺図(さぎず)
第四回(1636)、および第五回(1643)の通信使画員に選ばれた金明国(1600~1662年以降)は、当時の日本ではたいへんな人気であった。一人の画員が二度も通信使に加わる例はほかになく、その歓待ぶりがうかがえる。この鷺図は金明国の稀少な作品のひとつで、江戸幕府の儒官であった林羅山(号は道春、1583~1657)の七言絶句があり、両者の交流が偲ばれる。林羅山は1643年の通信使製述官であった朴安  ・・・
熾盛光如来降臨図(しじょうこうにょらいこうりんず)
熾盛光如来降臨図(しじょうこうにょらいこうりんず)
熾盛光如来は天体の軸星、北極星を指し、日月蝕などの自然現象の際に無病息災を祈願する本尊である。毛穴から熾盛(燃え上がるような)光明を発し、すべての闇を制すことに名の由来がある。  隆慶3年(1569年)に制作された本図は、制作年が特定される基準作として貴重。また朝鮮で制作された降臨形式の熾盛光如来図は、本図のほかに高麗時代作の米国ボストン美術館蔵のものがあるが、その存在は希少である。  ・・・