開館20周年記念特別展Ⅰ「愉快なクリム-朝鮮民画」2008年4月12日(土)~5月25日(日)
 

文字図「恥」        文字図「廉」
 (19世紀) 高麗美術館蔵

開館20周年記念特別展Ⅰ
「愉快なクリム―朝鮮民画」

本年秋に開館20周年を迎える当館では、これにさきがけた朝鮮民画の特別展を開催します。朝鮮民画は素朴かつ破天荒な筆法で独自の趣を放っています。表題の「クリム」とは朝鮮語で「絵」や「図」を意味する言葉です。このたびの展覧会では正統な筆法などを修練した画員たちの絵画作品のみに目を向けるのではなく、絵画というものを広く捉えたいことから、敢えてこの言葉を選びました。今回は文字図や鵲虎図、冊架図などをはじめとした作者不詳の愉快な朝鮮絵画を約30件出品します。
なかでも新収の「漁村落照」はかつて料治熊太(古美術研究家)が慶州で集めた絵で、これは八枚からなる瀟湘八景図のうちの一枚であり、日本民藝館所蔵の「洞庭秋月」「平沙落雁」と姉妹作品です。今回はこれらの三枚が京都に集うまたとない機会です。また、漢字の意味にまつわる史話や逸話を象徴した絵や図を、字画のなかに描き入れた文字図は、朝鮮の精神文化を知る上で重要なジャンルであり、版画や刷毛でかすれ書きした飛白体など、様々な様式で描かれた文字図を出品します。さらに鉄絵のやきものに描かれた素朴な味わいのある絵ももう一つの見どころです。融通無碍な発展を遂げた朝鮮民画を高麗美術館で存分にお愉しみください。


 ■会 期   2008年4月12日(土)~5月25日(日)
 ■開館時間   午前10時~午後5時
 ※入館は午後4時30分まで
 ■休館日   毎週月曜日、5月7日(水)
 ※5月5日(月)、6日(火)は開館します
 ■入館料   一般800(640)円、大高生600(480)円、中小生400(320)円

 (  )内は20名以上でご来館の団体割引料金です。
 また、事前のご予約にて団体解説も承っております。
 詳しくは高麗美術館(電話075-491-1192)まで。

 ■主な出品紹介  ・瀟湘八景図(朝鮮時代 19世紀)「漁村落照」高麗美術館蔵
 ・                     「平沙落雁」日本民藝館蔵
 ・                     「洞庭秋月」日本民藝館蔵
 ・飛白体文字図四曲屏風(朝鮮時代19世紀)静岡市立芹沢銈介美術館蔵
 ・飛白体文字図「忠信」(朝鮮時代19世紀)静岡市立芹沢銈介美術館蔵
 ・鵲虎図(朝鮮時代 19世紀)高麗美術館蔵
 ・鉄砂雲龍文壺(朝鮮時代 17世紀)高麗美術館蔵

 
 ■出品協力  日本民藝館、静岡市立芹沢銈介美術館

【関連イベント】朝鮮民画に親しむ ※イベントは終了いたしました。 
 
4/26(土).4/29(火・祝).5/17(土).5/18(日)に開催
展覧会の見どころを担当学芸員がわかりやすく解説します。また、花や蝶に
絵を織り交ぜて文字を描く花文字体験や、やきものに絵を描くワークショッ
プでは実体験を通じて朝鮮民画のこころに触れる機会です。遊び心溢れる朝
鮮民画を実際に体験してみませんか。(各回13:30~15:30)


学芸員によるギャラリートークの後、


+ワークショップ①朝鮮民画-花文字体験
4/26(土)、5/18(日)
※両日とも終了いたしました。
募集人数 各回15名
参加費用 一般:1800円 学生:1300円  *入館料800円を含む。

【花文字で福を描く】特別展の展示作品である飛白体文字図と関連したイベント。平らな筆を巧みに使って、文字のところどころに花や蝶を配した花文字を描く。朝鮮民画の心を継承する花文字名人李青山先生の実技を鑑賞後、手ほどきを受けながら、「福」の字を描いていただきます。




+ワークショップ②やきもの絵付け体験
4/29(火・祝)、5/17(土)
※両日とも終了いたしました。
募集人数 各回25名
参加費用 一般:2000円 学生:1500円  *入館料800円を含む

【やきものに描く鉄絵の民画】特別展の展示作品である陶磁器「鉄砂」にちなんだイベント。講師に陶芸家の村田森先生ご指導の下、鉄絵具を使ってご自身で自由に絵を描いていただきます。描いた皿は後日、窯で焼き、当館にてお渡しいたします。(送料着払い発送可)


●事前にご予約ください● (高麗美術館研究所 ℡075-494-2238)
美術館受付、又は電話でお申し込みください。定員に達し次第、締め切ります。なお、
イベント参加の方は、汚れてもよい服、エプロン、手ぬぐいなどをご持参の上、当日13:30に高麗
美術館にお集まりください。


主な出品紹介

●瀟湘八景図 しょうしょうはっけいず 19世紀 

左  :「漁村落照」ぎょそんらくしょう  高麗美術館蔵
中央:「平沙落雁」へいさらくがん    日本民藝館蔵
右  :「洞庭秋月」どうていしゅうげつ 日本民藝館蔵

 瀟湘八景図のうちの三図。瀟湘八景図は中国、朝鮮、日本においておなじみの画題であり、文人たちが好んだものである。これらの瀟湘八景図は遠景を山、近景に人物を配し、山の端を点線でなぞるなど、一種独特なタッチで表している。特に朝鮮時代後期には伝統的な画題であれ、このように変幻自在に筆意を展開させた絵画を見ることが多くなる。
新収の「漁村落照」は料治熊太(古美術研究家)が朝鮮・慶州で1930年代に集めた絵であり、日本民藝館所蔵の「洞庭秋月」「平沙落雁」と姉妹品。このたびはこの三件がふたたび集うまたとない機会である。

※詳しくは高麗美術館館報78号(2008/4/1発行)
 展覧会への誘い「愉快なクリム―朝鮮民画」によせて を御覧ください。



●飛白体文字図四曲屏風 19世紀  紙本墨画 静岡市立芹沢銈介美術館蔵
 革の筆を用いて描いた文字図。かすれるような書体は古来より飛白体と呼ばれたものであり、漢字の文字と絵画が表された本作品は書とも絵画とも判別不能な豪壮なエネルギーを持つものである。右より「洛亀」「河魚」「龍馬」「風虎」が描かれる。中華文明と易経との関わりがあるもので、呪術的な意味合いを持って作られたものであろう。



●飛白体文字図「忠信」 19世紀 紙本墨画 静岡市立芹沢銈介美術館蔵
 飛白体による文字図。革および竹の枝などを巧みに使用して描いた作品。スピード感のある筆致からは絵画というよりは書とみるべきものであると考えさせられるものである。この文字図は「忠信」と書かれており、儒教の精神を表すものである。なお、今日の「花文字」と文字と関わりをもつ資料である。



●鵲虎図 19世紀  紙本墨画淡彩 高麗美術館蔵
 虎(豹)とカササギを描いた鵲虎図。鵲虎図は吉兆を意味したおめでたい図像であり、新年に家々で飾られたものである。鵲虎図は中国にその淵源が求められる画像であり、吉報を意味するカササギと「報bao 」と音通である「豹bao」がセットされ、「報喜」の意味を持つものとして親しまれた。朝鮮の鵲虎図は豹が虎としても扱われ、斑の毛皮をまとった虎は画題の真意を継承したものといえる。



●鉄砂雲龍文壺 17世紀  高麗美術館蔵
 このやきものに描かれているのは龍である。変幻自在なタッチでおよそ龍とは似つかわしくない形相で表現されている。一七世紀の壺にはこのような龍の姿が登場している。

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