2007年秋季企画展「朝鮮王朝の青花白磁」-清らかなコバルトブルーの世界-2007年10月5日(金)~12月24日(月・振休)
 

青花雲龍文壺 18世紀

開催にあたって

この度の秋季展では、朝鮮時代(1392~1910)の青花白磁を展観いたします。

朝鮮王朝建国以前は、鉄絵や象嵌などを施した青磁が時代の主流を成し、やがて、粉青沙器(粉青磁ともいう)がその後を引き継ぎ、鉄絵や象嵌だけでなく、掻落や刷毛目、粉引など多様な技法を生み出しました。時代を経て変化するその姿は、俗に「白磁化」ともいわれます。

高麗から朝鮮へと移り行くその頃、すでに白磁は一部で生産されつつありました。朝鮮王朝の建国後まもなく、その本格的な生産体制は確立され、王朝終焉の19世紀末期まで連綿と発展しました。そのなかで重要な位置にあったのが、青花白磁です。

青花白磁とは、酸化コバルト顔料で器面釉下に絵付けをし、還元炎で焼成した白磁をいいます。中国の明や清から大きな影響を受けた朝鮮王朝では、最初はその模倣を試みていましたが、しだいに独自性を発揮し、多様な成果をもたらします。朝鮮王朝ならではの、温かみのある、豊かな感性を含んだ素晴らしい青花白磁が次々に生み出されていきました。そしてもっとも活発に製作された18世紀から19世紀にかけ、その存在は時代を司る確固なものへと昇華しました。

当館所蔵の青花白磁を一堂に展示するのは、およそ16年ぶりです。さまざまな趣をみせる、青花白磁の数々をご堪能ください。


開館情報

 ■会 期    2007年10月5日(金)~12月24日(月・振休)
 ■開館時間   午前10時~午後5時  ※入館は午後4時30分まで
 ■休館日   毎週月曜日、但し祝日と重なる場合は翌日休館。  
 ■入館料   一般500(400)円、大高生400(320)円、小中生400(240)円

 (  )内は20名以上でご来館の団体割引料金です。
 また、事前のご予約にて団体解説も承っております。
 詳しくは高麗美術館(電話075-491-1192)まで。

 ■関連情報   会期中に限り、企画展図録『李朝染付-朝鮮王朝の青華白磁』(定価1,500円、カラー50p、1991年刊行)を特別価格800円にてお求めいただけます。
 ■主な出展品 ・ 青花雲龍文壺(18世紀)
・ 青花松鹿文壺(18世紀)
・ 青花桃花文面取瓶(18世紀)
・ 青花李命熙墓誌石(18世紀)
・ 青花窓絵鶴亀文壺(19世紀)
・ 青花蝙蝠寿字文鉢(19世紀)
・ 瑠璃地陽刻双喜文盒子(19世紀)など   総出品数約60点


主な出品紹介

青花雲龍文壺 18世紀
 壺の器形や文様から、18世紀に製作された王室儀礼用の壺と考えられる。龍は王権を象徴し、貴重なコバルト顔料でこれを描くことを許されたのは宮廷画員であった。筆致はたいへん精巧で、手足を前後に広げ、たなびく髭と頭上の髪は空を舞う龍の躍動感を一層つよく感じさせる。  これと類似する雲龍文壺が数点残存するが、なかでもこの壺は秀品である。



青花桃花文面取瓶 19世紀
 18世紀以降にみられる典型的な八角瓶。地面を一筋の線で表現し、その上に桃の花と昆虫が飛ぶ様子が器面全体にわたって描かれている。白磁の釉調はやや黄色味を帯び、胴と頸のバランスがちょっとおかしい。しかしどことなく温かな趣を湛えたこの面取瓶は、歪みもよしとする大らかな印象である。



青花鶴亀文壺 19世紀
 満月を連想させる壺。頸はやや外に向かって反っており、高さがある。胴部は鉢形に造った上下を別々に成形し、接合させて形を整えるが、完璧な円形ではないところが味わい深い。
壺の四面には、吐き出した瑞気が円圏となり、その中央に鶴と亀が交互に配置されている。いずれも片足は下方に描かれた海に浸っている描写が微笑ましい。



青花j蝙蝠文壽字文鉢 19世紀
 蝙蝠は青花白磁にたびたび登場する文様である。蝙蝠の「蝠」が幸福の「福」と同じ発音をすることから、吉祥文として好まれたためである。
 この鉢には総26匹の蝙蝠が登場しており、見込み中央にある「寿」字は2匹の蝙蝠に守られた様子である。全体的に青白色を呈しており、青花の顔料はたいへん発色がよい。



瑠璃地陽刻双喜文盒子 19世紀
 瑠璃地は青花の顔料をふんだんに使用する。顔料が貴重であった頃にはあまり製作されず、比較的その入手が容易であった19世紀になって、本格的な製作が行われるようになった。
 この盒子は、貼花技法によって文様を表現している。身の四面には梅の枝を、蓋には双喜文を施しており、青花を塗りつめた刷毛の跡が鮮明に残されている。