2006年夏季企画展「活字の国、朝鮮-朝鮮活字印刷文化との出会い」2006年7月7日(金)~8月6日(日)
 

『進饌儀軌』の配置図 銅活字“整理字”本。4巻4冊の完帙。縦36.2×横23.5cm。

開催にあたって

私たち現代人にとって、“本”は大きな役割を担っています。本、そして活字は、まさに人類の文化遺産といえます。木や金属製の活字を使って紙に印刷することは、かつて重要な意味を持っていました。今回の企画展では、朝鮮史上もっとも多様な活字が生み出され、優れた技術を誇る朝鮮時代の印刷文化を紹介します。 およそ500年という長い歴史を持つ朝鮮王朝では、時代ごとに多種多様な活字が作られ、優れた印刷技術を基に多くの本が刊行されました。朝鮮時代の思想や両班(ヤンバン)たちの生き方は今に残された古典籍、すなわち“朝鮮本”からかいま見ることができます。今回は当館所蔵品を中心とする約70点の朝鮮本、および木・金属活字等を中心に展示、それぞれをパネルで詳しく解説します。また中国や日本の印刷本と比較することで、まだ世に広く知られていない朝鮮活字印刷文化の史実を知る絶好の機会となることでしょう。

開館情報

 ■会 期    2006年7月7日(金)~8月6日(日)
 ■開館時間   午前10時~午後5時  ※入館は午後4時30分まで
 ■休館日   毎週月曜日、但し祝日と重なる場合は翌日休館。  
 ■入館料   一般500(400)円、大高生400(320)円、小中生400(240)円

 (  )内は20名以上でご来館の団体割引料金です。
 また、事前のご予約にて団体解説も承っております。
 詳しくは高麗美術館(電話075-491-1192)まで。

 ■関連イベント 


主な出品紹介


『進饌儀軌』の配置図 銅活字“整理字”本。4巻4冊の完帙。縦36.2×横23.5cm。
『進饌儀軌』は、朝鮮国王の生誕祝など宮中儀礼に関する貴重な記録。当館所蔵の同本は、丁丑年、高宗14年にあたる1877年12月6日に催された進饌儀を取り上げたもので、高宗の即位に絶対的な役割を担った大王大妃(翼宗妃)神貞王后趙氏の70歳を祝した儀軌である。 また“整理字”とは、1796年(正祖20)3月に奎章閣で鋳造された金属活字であり、20種ほどが印刷されている。しかし1857年の鋳字所火災によって消失したため、1858年に再度鋳造を試みている。これを“再鋳整理字”という。



『新編古今事文類聚』
 銅活字“癸丑字・甲辰字”本。15世紀末。
中国上古から宋代までのすべての事文を分類集約した百科事典。従来のあらゆる書籍から事文を集め、経史子集に分類し「群書要語」「古今事実」「古今文集」を収録している。同本はのちに朝鮮や日本でも印刷されているが、活字の形態や印刷技術が異なるため、活字印刷文化の比較が可能である。
この『新編古今事文類聚』の巻頭には朝鮮国王からの内賜本であることを証明する朱印があり貴重である。



『新編古今事文類聚』の「天道部」頁
 



日本で印刷された古活字本による『新編古今事文類聚』



木活字・金属活字のさまざまな字体