2005年冬季企画展「朝鮮の四君子-梅・蘭・菊・竹」2005年1月8日(土)~3月27日(日)
 

刺繍花鳥図屏風 部分 19世紀

開催にあたって

巧みな刺繍が施された朝鮮時代後期の屏風である。縁取りが紫紺色に染められたのは宮廷使用の証しである。また朝鮮式屏風は脚がつき、蝶番には布地を用いるのが特徴である。  各曲には梅などの花卉を中心に穴の開いた怪石、鳥、蜂など野性の営みが収められている。鳳凰(ほうおう)や雉(きじ)、翡翠(かわせみ)、鶉(うずら)等はすべてつがいで、夫婦和合を表す。また牡丹や石榴等は富貴や子孫繁栄を表し、「四君子」の梅・菊・竹が自然のなかで生息する様子が彩り豊かに表現されている。  「四君子」は特に文人の気高い精神性を反映するが、健やかに生きる願いが込められた女性使用の生活品にも、ほほえましく鮮やかに表わされた。


開館情報

 ■会 期    2005年1月8日(土)~3月27日(日)
 ■開館時間   午前10時~午後5時  ※入館は午後4時30分まで
 ■休館日   毎週月曜日、但し祝日と重なる場合は翌日休館。  
 ■入館料   一般500(400)円、大高生400(320)円、小中生400(240)円

 (  )内は20名以上でご来館の団体割引料金です。
 また、事前のご予約にて団体解説も承っております。
 詳しくは高麗美術館(電話075-491-1192)まで。


主な出品紹介

刺繍花鳥図屏風  部分 19世紀
   巧みな刺繍が施された朝鮮時代後期の屏風である。縁取りが紫紺色に染められたのは宮廷使用の証しである。また朝鮮式屏風は脚がつき、蝶番には布地を用いるのが特徴である。  各曲には梅などの花卉を中心に穴の開いた怪石、鳥、蜂など野性の営みが収められている。鳳凰(ほうおう)や雉(きじ)、翡翠(かわせみ)、鶉(うずら)等はすべてつがいで、夫婦和合を表す。また牡丹や石榴等は富貴や子孫繁栄を表し、「四君子」の梅・菊・竹が自然のなかで生息する様子が彩り豊かに表現されている。  「四君子」は特に文人の気高い精神性を反映するが、健やかに生きる願いが込められた女性使用の生活品にも、ほほえましく鮮やかに表わされた。  この屏風は刺繍法、構図だけでなく、当時の屏風様式を伝えるものとして貴重である。



青磁象嵌宝相華唐草文高脚杯 13世紀  10.2×13.4cm
  青磁釉下で白と黒の象嵌が器面を鮮やかに彩る。菊を中心に宝相華唐草文が逆象嵌(文様の背後を象嵌)で立体的に表現されている。杯の見込みには細かな雲と鶴が白象嵌され、脚部には4本の陰刻線を入れ、各面につぼみのある菊を施している。
 全体的に文様に覆われた印象的な青磁高脚杯は、象嵌技法が主流となった高麗青磁の隆盛期に製作されたものである。大振りでありながら精巧な高脚杯としては、類例が少なく貴重である。



青花梅竹文角瓶 19世紀  14.8㎝
  4枚の長方形板を用いて形作られた胴部に、青花顔料で梅と竹が一面ずつ交互に描かれている。肩には緩やかな面取りを施し、突き出た注ぎ口は末広がりとなっている。平面的な角瓶ではあるが、どこかまるく優しい印象である。
 梅竹文は古くから「二雅」「双清」「双清君子之交」と言い習わされ、蘭と菊が加わって雅趣に富む4人の文人、「四君子」にたとえられた。
 角瓶はとくに18世紀から19世紀にかけて生産され、このような青花白磁が多くみられる。ほとんどは高さ15~20cmほどの小さな瓶であり、持って酒を注ぐのにちょうどよい。



黒漆塗螺鈿長生文碁盤 19世紀   29.5×45.0×45.0cm
  この碁盤は全体に螺鈿が施され、対面一組で双鶴や岩、霊芝などが絵画的に表現されている。松・竹・梅は「歳寒三友」と言い習わされ、後には長生文と組み合わすことが多い。また4人の人物が碁に興じ、傍らで茶の湯番をする童子が描かれている。これは中国秦代の賢人らが乱世を避け、長安の南方にある商山に隠棲し、将棋や囲碁を愉しんだという故事に基づく「商山囲碁図」である。中国故事を基に高潔な文人精神を表した調度品は多く、装飾性豊かなこの碁盤は、朝鮮文人が愛用したものであったと思われる。