2004年夏季企画展「朝鮮の美術―涼やかなる日常の美」2004年7月2日(金)~9月26日(日)
 

青磁象嵌雲鶴文碗 12世紀後半世紀

開催にあたって

高麗美術館は昨年開館15周年を迎え、これを機に今後は四季を通して年4度の展覧会を催すこととなりました。この度の夏季企画展では主に朝鮮時代の人々が日常手にした生活品のなかから「涼やか」なものをテーマとし、高麗青磁や朝鮮白磁、竹や紙を使った工芸品、山水図や草虫図などの絵画等、約60点をご紹介します。   また常設展示室では朝鮮時代の文人部屋「舎廊房(サランバン)」を再現し、家具木工品などさまざまな調度品を陳列します。ぜひお出掛けください。

開館情報

 ■会 期   2004年7月2日(金)~9月26日(日)
 ■開館時間   午前10時~午後5時  ※入館は午後4時30分まで
 ■休館日   毎週月曜日、但し祝日と重なる場合は翌日休館。  
 ■入館料   一般500(400)円、大高生400(320)円、小中生300(240)円

 (  )内は20名以上でご来館の団体割引料金です。
 また、事前のご予約にて団体解説も承っております。
 詳しくは高麗美術館(電話075-491-1192)まで。

 ■出展数  館蔵品のなかから約60点

主な出品紹介

青磁象嵌雲鶴文碗(せいじぞうがんうんかくもんわん)  高麗時代 12世紀後半 高6.6cm 径17.0cm
  二羽の鶴が雲と戯れるように飛翔する様子を象嵌技法で表している。高麗時代(918~1392)に技を極めた象嵌青磁には、鶴と雲が代表的文様として知られるほか、唐草・牡丹・菊花など美しく優雅な文様が多い。深みのある青磁の色は翡翠(かわせみ)の羽にたとえられ「翡色青磁」と呼ばれた。



竹貼文書函(たけばりぶんしょかん) 朝鮮時代 19世紀末期  高15.0cm 横53.0×15.0cm
  書簡類を納める鍵付の文箱。朝鮮時代の家具木工品には割り竹を貼り付ける装飾が多くみられる。とくに全羅南道や慶尚南道は竹の生産地として名高く、竹工芸は実に多彩である。この函の底面以外は漆黒色の割竹に包まれ、黄銅の金具と褐色の卍字が全体を引き締めている。



山水図(さんすいず) 絹本墨画淡彩 双幅のうち一幅
朝鮮時代 18世紀後半 縦90.2 横41.8
  霧が立ち込める山岳。山間の渓流に瓦葺きの家があり、地面から伸びる草木は初夏の訪れを告げている。朝鮮時代(1392~1910)の17~18世紀には、実在の風景をもとに精神性を表現する真景山水画が画壇に登場する。この絵の彩色や筆致には手馴れた感があるが、作者に関しては未だ不明点が多い。朝鮮山水画の流行をうかがわせる夏景山水図である。



白磁扁壺(はくじへんこ) 朝鮮時代 18世紀 高19.8cm
  片面の中央から三日月のような染みが高台まで続く。この扁壺は灰白色を帯び、釉掛けが少し粗いが全体の造形には技がみられる。扁壺はまるい壺形を両側からつよく叩くことで平面を作り出す方法が多いが、この作品は円形皿を口合わせにつないでいる。頸(くび)に紐をくくりつけ、水や酒を入れる容器として使用された。



青花仏手柑壽字文鉢(せいかぶしゅかんじゅじもんはち)
朝鮮時代 19世紀  総高16.5cm 最大径23.4cm
  太陽の明るい日差しに照らされる仏手柑。あたかも人の指のように育つことから、子孫繁栄や多福多産を象徴する植物とされた。蓋の表と鉢見込みに「壽」字が青花顔料で記される。京畿道広州官窯の青花白磁が最後の隆盛期を迎えたころの作品である