有光教一先生1934年頃
1945年8月の日本敗戦後、朝鮮総督府日本人職員が解任され、在朝日本人のほとんどが日本へ引き揚げる中、有光は朝鮮駐屯米軍政庁文教部顧問として残留を命じられます。
「外国で、身の安全の保証もないまま年の瀬を越すことになった。不思議な運命としか言いようがない…。湯槽につかって思いめぐらすうち、なるようにしかならん、くよくよしても仕様がないと気づき心和らぐ。大晦日の夜空はいかにと見上げれば、満天の星が地上の騒動や個人の感傷に関係なくキラキラと輝いて美しい」 (有光の回顧録より)。
有光は1946年6月に博多港へ引き揚げるまで、朝鮮に残留する日本人考古学者として韓国初の国立博物館(現国立中央博物館)開館、そして慶州壺杅塚や銀鈴塚など朝鮮人の手による古蹟発掘調査を支えました。朝鮮考古学に対する有光の無垢な熱意は多くの交流を生み、103歳で生涯を閉じるまでその灯火は燃え続けました。
本展では、混沌とする社会情勢の中で朝鮮文化財に関わる重要な任務を背負い、朝鮮考古学への探究心を生涯貫いた有光教一の人物像を探り、これまで未公開だった朝鮮解放前後の朝鮮古蹟調査の動向を示す写真、図面等、貴重な考古資料を一堂に展示します。
■会 期 | 2012年 4月1日(日)~6月3日(日) |
■開館時間 | 午前10時~午後5時 ※入館は午後4時30分まで |
■休館日 | 月曜日 <ただし、4月2日(月)、30日(月・振替休日)は開館。> |
■入館料 |
一般500円、大高生400円、中学生以下無料
※障害者手帳をお持ちのご本人と付添いの方1名まで無料。 |
■協 力 | 京都大学総合博物館、奈良県立橿原考古学研究所、国立中央博物館(韓国ソウル)ほか |
■監 修 |
藤井和夫(韓国国立中部考古学研究所)、吉井秀夫(京都大学文学研究科) |
恩師 梅原末治、藤田亮策との出会い
第2部〈いざ、慶州へ―朝鮮古蹟研究会・朝鮮総督府博物館時代〉
慶州皇吾里第82・83号墳の発掘調査、総督府博物館主任
第3部〈文化財を守れ―国境を越えて〉
情勢悪化のため文化財疎開、韓国人による「壺杅塚・銀鈴塚」の発掘
韓国初の国立博物館開館へ
第4部〈アメリカに届いた木箱―金載元からの書簡〉
第5部〈橿原考古学研究所所長~高麗美術館・鄭詔文との出会い〉
■高麗美術館研究講座「有光教一先生と高麗美術館・鄭詔文氏、朝鮮への想い」
講 師:上田正昭氏(高麗美術館館長・京都大学名誉教授)
日 時:5月26日(土)13:00~14:30
会 場:佛教大学四条センター(四条烏丸北東角、京都三井ビル4階)
聴 講 料:1,000円(予約不要) 定員:150名
講 師:高 正龍氏(立命館大学文学部教授)
日 時:4月22日(日)13:30~14:30
講 師:松波宏隆氏(龍谷大学非常勤講師) 日時:5月13日(日)13:30~14:30
会 場:高麗美術館マダン
聴 講 料:1,000円(入館料込み) 定員:各回60名(要予約)
日 時:4月14日(土)、28日(土)、5月12日(土)
いずれも13:30~15:00
会 場:高麗美術館マダン
参 加 費:800円(入館料込み) 定員:各回15名(要予約、対象は小学3年生以上)
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