
刺繍花鳥図八曲屏風 部分 18世紀
開催にあたって
このたびの展覧会では、当館コレクション1,700点のなかから名品を選りすぐり、朝鮮半島の古代から近代までの歴史をたどり、朝鮮美術の真髄に触れます。なかでも一針一針、色彩豊かな糸で造形された刺繍屏風、螺鈿や華角などが施された木を基調とする工芸品など装飾技法に着目した展覧会とします。そのほか陶磁器をはじめ考古美術や仏教美術にいたるまで各分野に渡る多彩な朝鮮半島の精華をご堪能いただけます。
手から生まれた工芸品の持つぬくもりを、高麗美術館でお楽しみください。
開館情報
■会 期 |
2008年1月8日(火)~4月6日(日) |
■開館時間 |
午前10時~午後5時 ※入館は午後4時30分まで |
■休館日 |
毎週月曜日、1月15日(火)、2月12日(火)
※1月14日(月・祝)、2月11日(月・祝)は開館します。 |
■入館料 |
一般500(400)円、大高生400(320)円、小中生400(240)円
( )内は20名以上でご来館の団体割引料金です。
また、事前のご予約にて団体解説も承っております。
詳しくは高麗美術館(電話075-491-1192)まで。
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■主な出展品 |
・刺繍花鳥図屏風
・刺繍十長生図枕隅
・黒漆塗螺鈿花鳥文箱(前期) ・黒漆塗螺鈿十長生文函(後期)
・朱漆塗螺鈿鳳凰文硯床
・華角函
・華角三層チャン ほか約60点 |
主な出品紹介
黒漆塗螺鈿花鳥文箱(くろうるしぬりらでんかちょうもんはこ) 19世紀 |
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螺鈿とは、貝の殻を砥石で平らに磨り減らして適当な厚さにし、その貝片を 貼って全体に漆を塗り、文様部分を研ぎ出す技法である。 この箱には全体に螺鈿が施され、貝は光の加減によって薄紅色や緑色を放つ。蓋には二羽の鳥が梅の枝にとまり、側面に松や竹などの文様が施されている。 二羽の鳥はつがいで夫婦和合を意味し、梅・竹・菊・蘭は気品の高い四人の君子に見立て、「四君子」とされた。 |
黒漆塗螺鈿十長生文函(くろうるしぬりらでんじっちょうせいもんはこ) 19世紀 |
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この函は衣装入れとして使用された。蓋の鳳凰は、貝の表面に細かく筋を入れる毛彫り技法によって、羽の文様が細部まで表されている。前側面には池のほとりに蓮の蕾と、その蕾をくわえた亀が装飾され、のどかな水面と波のゆらめく情緒豊かな様子が短冊形の切貝によって作りあげられている。 |
朱漆塗螺鈿鳳凰文硯床(しゅうるしぬりらでんほうおうもんけんしょう) 19世紀末期 |
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硯床とは、硯や墨、紙などの文房具を保管するための収納箱である。螺鈿に使われる貝は平面が広く、整形の作業が容易に行える鮑貝を使用した作例が多い。
この硯床の蓋にはあらゆる鳥類の始祖であり、吉鳥とされた鳳凰が二羽向かい合って装飾され、引き出しや側面には幾何学文様や宝尽文、石榴、仏手柑文がちりばめられている。また、足元の板を支えた側面には、勾玉のような形の彫刻が施されている。 |
華角三層チャン(かかくさんそうチャン) 19世紀後半 |
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華角とは牛の角を透明の紙のように薄く加工し、それに裏から彩色を施し 木地に貼り付ける朝鮮独自の技法である。華角は製作工程が複雑かつ困難なうえ、技術の高さが求められる希少な贅沢品であり、主に王宮や両班(ヤンバン)と呼ばれた貴族階級の実用品に見られた。 この三層には赤・黄・緑を背景色として角紙が貼り付けられ、扉部分には長寿を意味する仙人、扉の両脇には鶴、鹿、羊などの動物文が、扉の上下には植物文様など多彩な装飾が凝らされている。 |